休業中のちりめん細工の店「湊屋」の隠居した番頭が綴る日々の話です。
銀座松坂屋が閉店になると知り、最終日に行ってまいりました。
子供の頃、我が家では週に一度、銀座松坂屋のお好み食堂のカウンターでおでんを食べるのが習慣になっていました。
歩き始めたばかりの私は、松坂屋に着くと、自動人形のように、お好み食堂に向かって歩いていったそうです。
お好み食堂のおでんは、関西風の白っぽい汁で、鍋の中を覗きこみながら好きな物をお皿にいれてもらい(私は、大根、昆布、ちくわぶ、ふき、唐辛子の蒟蒻、ジャガイモとかさといもとか筍とかでした)たまにヒレカツを一人前だけ頼んで、みんなでつついたり、なめこと豆腐の赤出汁の味噌汁を飲んだり……。
ご飯は茶めしとキャベツと胡瓜と生姜の浅漬け。
父親は昼間から熱燗。
なにしろ毎週、カウンターでおでんなので、おでん屋のおじさんとは顔なじみ。
とはいえ、私が高校を卒業する頃には、家族で揃って銀座に行くことは少なくなり、とんかつ屋のおじさんが引退した頃には、松坂屋ともお好み食堂とも疎遠になっていきました。(その後、私が松坂屋にあまり行かなくなったのは、品揃えが面白かった本のコーナーがなくなってしまったからでしたが)
そんな思い出の松坂屋がなくなるというので、復刻ヒレカツでもたべてこようかと。
お好み食堂です。
1時間くらいかかってやっと席につけました。
奥ののれんの所がカウンターになっていて、おでん屋さん、右側が豚カツ屋さん、左側がお寿司屋さんでした。
さあ、復刻ヒレカツがやってきました……。
なんか違う。
以前のここのヒレカツを知らない人なら、この一口カツを普通に美味しいと思うかもしれませんが、別物です。
キャベツに紫キャベツ入れちゃダメでしょ。しかも、ドレッシングかかってるし。
キャベツはもっと細くて透き通って、ソースはトンカツソースじゃなくて、辛めのウスターソース。そして金属製のソース入れにトマトケチャップを添えてくれなくては。
辛いウスターに甘いトマトケチャップをいれることで、ソースを好みの味にできたんです。で、お新香はキャベツの浅漬けじゃなくちゃ。
主役のヒレカツの衣の色は、もっと白っぽかったし。
当時は、衣に色がつくと揚げ油を入れ替えていたという贅沢さでした。
たしかパン粉も手でちぎって作っていたのではなかろうか?
父親へのお土産に豚カツをテイクアウト頼んでみたのですが、駄目でした。
昔はテイクアウトもできたのにね。
まあ、昔を懐かしんでも仕方ないのですが、復刻というからには、せめてソースとかキャベツとかお新香とかの細部くらいは再現したほしかったなあと。
上野の松坂屋ではまだ、あの懐かしの豚カツを食べられるのかしら?
ちょっと残念な気分で屋上へ。
高い猫さんを見納めしようと思ったのですが、すでに、ネコさんたちは居ませんでした。
みんな家族が決まったのだったらいいなあ。
お好み食堂でテイクアウトできなかったので、地下で父親の夕飯の豚カツを買って、急いで帰宅。
帰宅途中で会った茶虎のボブテイルなネコさん。
みい様よりもちゃんと尻尾が巻いていてちゃんとボブテイルらしいボンボンになっていますね。
体型もずんぐりしたお江戸の和猫風。
松坂屋の屋上の代わりに、野良さんに癒されました。
一口カツを食べただけなのに、なんだか疲れてしまいました。
さようなら松坂屋。
[我が家のみい様]
アボガドは根がでてきましたよ
枯れた薔薇の花は種に。
毎年、赤くなったら種を取ろうと思って忘れてしまいます。
熟すまで4ヶ月くらいかかるらしいです。
そして、今年もデニーズで氷始めました。
さてだらだらの6月が終わって、7月になっちゃいました。
今月は父親の通院とお盆と参議院選挙があるんだなあ。